利用者との信頼関係構築について
介護職員は利用者と信頼関係を結んだ上で、様々な介護サービスを提供するのが仕事です。この信頼関係の良し悪しによって、介護サービスのクオリティが決まるといっても過言ではありません。ただし、利用者と信頼関係を結ぶといっても、実際にはそう簡単なことではありません。利用者がそれまで過ごしてきた生活環境や生い立ち、あるいは物事に対する価値観や抱えている病気など、利用者ごとに社会的背景は異なるからです。そのため、介護職員は、理想的なサービスを提供するために、日々悩みながら試行錯誤を繰り返していると言われています。
たとえば、ホームヘルパーが食事を提供する際には、いかにして一人ひとりの好みや体調に合った料理を提供するのか、常に利用者を観察して、傾聴をしながら献立を考えます。また、利用者の多くが、何らかの病気や障害を抱えた高齢者であるため、一人ひとりの心身をよく見極めて、適切な介護サービスを提供する必要もあります。日によって気分や態度が大きく変わるような認知症の高齢者の場合は、判断力や身体機能について、あらかじめ家族から情報を収集しなければなりません。そしてその上で、利用者ができることとできないことを把握し、日常生活をサポートすることが大切です。
それから、半身まひの利用者の場合は、まひの原因は何か、手や脚はどこまで動かせるのか、痛みはあるのかといった、身体の状況をしっかりと把握することも重要です。しかも、自立を促す援助を行うのであれば、利用者が積極的に動かせる気持ちを作ることも必要になります。そのため、あらかじめ利用者の身体状況を把握してから、障害に応じて周囲の環境を整備することが重要になります。